ソマリランド10

ソマリ人の氏族の掟〈ヘール〉の中で最も重要なのは、
殺してはいけないもの、ビリ・マ・ゲイドである。
それは〈女性、子ども、老人、傷病人、和平の使者、
捕虜、賓客、共同体の指導者、宗教的指導者〉である。
完璧だなぁと思う。

戦闘員がたくさん殺されれば、氏族の力は失われる。
しかし、これらの人々が残っていれば再生できる。
女は産みこどもは育つ。
氏族の歴史や様々な経験を身体に蓄えた老人は役に立つ。
宗教的指導者がいれば、残された者の心のよりどころとなる。
ようするに、時間をかけて蘇ることができる。
氏族は絶えることはない。

こういうところは、現代の戦争と本質的に違う。
アメリカなどは、指導者を必ず殺す。
息の根を止めることが目的であるから。

最近オリバーストーンの「語られざるアメリカ史」と、
「汚い戦争」のジェレミー・スケイヒル、
どちらも映画自体は見てないが、監督のインタビューを見た。
戦争は、どんな戦争も汚い物だと思うが、
現代の戦争は、もはや人と人の戦いではないように思う。
無人機による殺害のターゲットを、CIAはムシケラとよぶ。
彼らにとって、
相手は自分と同じ血も涙もある人間という感覚がない。

日本人は、アメリカやヨーロッパが上等と思っていて、
先進国という名前をつけ、
そっち側と思われたくて苦労している。

アフリカになんか、野生動物以外、
見るべきものはないと思っているのではとさえ思う。
始めての人間は、アフリカで生まれたんだよ。
どっちが先だよとおもう。
あの有名な文明の発祥の地、
チグリス川、ユーフラテス川は、今のイラクにあります。
ここにも長い歴史の中で生まれた知恵があるはずです。

イラクもソマリランドも、イスラム教徒の国です。
昔私は、アメリカはイスラム教を、
こんなにきらうのはなぜだろうかと不思議に思って、
イスラムについて何冊か本を読んだことがあります。
ハッキリとはわからないけど、
イスラム教というのは、お金についての感覚が特別です。
基本的に利子というものを認めない。
これは資本主義の根本に全くそぐわない。
これが大きいのかもと感じた。

われわれが受け取るニュースは、
ほとんどアメリカのバイアスがかかっているので、
日本人はアメリカ人と同じように、ムスリムを見ている。

最近めっきり恥ずかしい日本人が学ぶべきことは、
アラブにもアフリカにもいっぱいあると思う。
アラブやアフリカについてもっと知りたいと思う。

まだまだ面白いなという所はあるんだけど、
あんまり長くてもアレなんで、終わりにします。
長々書いてご迷惑様でした。





2013年05月25日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド9

著者は、ソマリランドの成立に至る、
長い困難な調整のための会議に全て同席し、
それを記録した大物にあうことを許される。
(最高級のカートを手土産に、ガチガチに緊張して行った)

そこで、あっと驚く事実がでてくる。
小規模な戦いの精算はラクダなんだけど、
長老や女子供、和平の使者などを殺してはならない、
という掟が破られた大虐殺のときは、
ラクダではなく、びっくりの奥の手が使われた。

それは、娘を20人ずつ交換するというものだ。
ソマリにはこんな格言があるらしい。
「殺人の血糊は分娩の羊水で洗い流す」
娘さんの身になればこれ以上の悲劇はないように思えるが、
これが子供が生まれなどするうちに、
うまく平和の架け橋になっていくらしい。

昔話じみているが、本当の最近の話である。

何と世界は広く、人間の知恵は深いのだろう。
人は困難にあっても、
実に様々なやり方で乗り越えて行くものである。
2013年05月25日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド8

ソマリランドは、国内に産業らしいものもないので、
海外に住むソマリ人からの送金で成り立っているのです。
これちょっとびっくりしたのですが、娘によると、
ネパールもそうだといいます。

(あと一つ訂正は憲法に関して、ソマリランドには、
立派な憲法があります。ないのはプントランドとネパールです。)

この海外からの送金というのがまた、面白い。
ソマリにはダハブシルという送金会社がある。
世界中にある支店は200とも300ともいわれている。

著者はお金がつきたので、
シドニーに住む妻の姉に送金を頼む。
姉はネットで検索し支店をみつけだした。
「行ってみてびっくり、八百屋の向かいに、
キオスクみたいな建物があってそれが支店なの!」
人の良さそうなソマリ人のおじさんが親切に対応。
お姉さんが家に帰ったあと、親切にも電話があって、
「明日はソマリランドは休日だから、
今日のうちに取りに行くように弟さんに言ってあげて」と。

ダハブシルの特徴は、〈超速〉〈超簡単〉
口座はいらない。
お姉さんが告げたのは、著者の名前と電話番号だけ。
シドニーで手続きを終えるやいなや、
瞬間的にソマリランドでうけとることができる!
おもしろーいでしょ?

著者はこのお金で支払いをすませ、
ワイヤップや、大物先生に、高級カートをおごり…
なくなったら姉さんに頼めばいいか、などと考える。
完全にソマリ人に染まりまくっている…笑
2013年05月24日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド7

ソマリランドの本はどこもかしこも面白いのです。

ソマリランドは、一夫多妻の国なのです。
奥さんは何と4人までオッケーです。

しかし、著者がたまたまその場(カート宴会です! 笑)
にいた10人くらいに、聞いたところ、
四人どころか二人の妻を持っていたのは一人だけ。
あとはみんな一人でした。
やはりいろいろ大変だそうです。
また、そのうち8人ほどが離婚経験者。
二人目の奥さんをもらおうとすると、
一人目が嫉妬に怒り狂って、結局離婚になるらしい。
いやなら、別れるのが当然だろうと、
あっという間に離婚するそうです。
そんで、すぐまた結婚する。
著者がお世話になった南部のテレビマンは、
10年間に8回結婚したといいます。

ソマリ人の特徴に、嫉妬深いというのと、
合理的というか、実際的というのを追加します。
2013年05月23日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド6

ソマリランドの本でどう考えても最も重要な物について、
満を時して、書いてみます。

それは〈カート〉と呼ばれる、覚醒植物です。
ソマリ人はみんなカート中毒といわれます。
小枝に青々した葉っぱがたくさんついていて、
この束はどこにでも売っています。
違法ではありません。
これをムシャムシャ食べるのです、口を緑色にして!
お酒などと違って、固形物ですから、
効き目が出るまでにやや時間がかかりますが、効いてくると、
元気ややる気がでてきて、朦朧としたりはしない。
カート宴会なるものもあります。
ここでは、つまみは逆に液体です。

著者はすぐにソマリ人顔負けのカート中毒になります!
なにしろ、ソマリ人は落ち着きがなく、集中力がなく、
ゆっくり話を聞くことが難しい。
そうなるとどうしても、
インタビューも、一緒にカートを齧りながら、
というスタイルになる。

著者を、いろんな人に会わせたり、
旅の安全をフォローしたりする頼れる男ワイヤップですが、
彼は、実に賢い人でテレビ局の偉いさんです。
著者は、彼にくっついて度々テレビ局に行きますが、
みんなカートをムシャムシャやりながら仕事です!

なかなかよさそうな葉っぱですが、
やり過ぎると便秘に悩まされるようで、
著者は、これもソマリ人に聞いて、
牛乳をガブガブのんでおりました。

カートは、イギリスに輸出されているようです。
ちょっと、ムシャムシャしてみたい…
2013年05月22日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド5

ソマリランドの本は、本当にどこもかしこもおもしろい。

ソマリランドの住民はもともとが遊牧民、ノマドだったわけだが、
現在も町中に、ラクダやらヤギやら、異様に沢山の動物がいるらしい。
これはなんだ?とあっけにとられる著者に、
「誰かがかっているんだ」という答!
著者は、世界中いろんな場所に行っているらしいが、
こんな所は他にないと。
定住してもやめられない?

東のプントランドに行けば、漁師もいる。
この漁師が海賊業もやっているらしい。
今も大変物騒な南部にいけば、農民もいる。
しかし、漁師も農民もどちらかと言うと、差別されているらしい。
娘を嫁にはやりたくない。
なにしろお金の単位がほぼラクダという国で、
ラクダを持っていないのだから、貧乏なのである。

政府の偉い人などは、戦火をのがれて外国に出て戻ってきた者が多く、
そういう人は外の世間をしっているインテリだったりするわけだが、
彼らはののしりの言葉として、
「ノマドが!」というようなことをいうらしい。
おもしろい。
2013年05月20日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド4

ソマリランドにはいくつかの氏族と、
たくさんのその分家があります。
わかりにくかろうと、
著者は源氏や平家に当てはめたりしてますが、
それでも、あんまりわかりやすくない。

ソマリランドの国土には、なーんにもいいものがなく、
砂漠と、遊牧民だけなので、宗主国のイギリスは、
使えねぇ、とばかりにほったらかしにしていたらしい。
そんなことも、氏族の長老が権限を奪われることなく、
その結束が温存された理由であるらしい。

氏族にはそれぞれの掟があり、
氏族同士の付き合い方にも、決まりがある。
同じグループに属する人たちの繋がりは驚くほど強い。
移動する遊牧民をつなぎとめ、まとめるには、
こういう形しかないのではないか。
国や憲法なんかなくても、なんの問題もなかったのだろう。

ソマリランドが一つの国としてまとまったのは、
幾つかの氏族の長が、それまでの争いを清算して、
手打ちをしたからである。
この〈清算〉である。
これは、食堂での支払いの時も使う言葉だが、
同じ言葉が、命の値段にも使われる。
氏族同士の争いで、死んだ人数を数え上げ、
殺した方が、男一人につきラクダ100頭を差し出すいう
掟に則って、文字通りの清算をしたのである。
いまではお金を代わりに払うが、金額は今も、
ラクダの値段が基準であるという。
ちなみに女は半額、ラクダ50頭分。

この補償金は同じ氏族に属する成人男子が、
頭割りして負担するという構造らしい。
待ってもらったりもできるらしい。

現在もこのシステムは生きている。
たとえば、同族の人が経営する工場で、事故があり、
そこで働いていた別の氏族の男が一人死んだとする。
こういう場合も、ラクダ100頭分のお金を遺族に支払い、
同族のものが均等に負担する。
氏族に属する人数が多いほど、有利である。
息子は生まれると、自動的に父方の氏族の一員となる。
2013年05月12日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランド3

ソマリランドの本を読んでいると、
国家とは何だ?と考える。
19世紀までそんなもんなしに、やってきた人たちである。
国って本当にいるのか?

ソマリランドの東隣のプントランドも、自称国家であるが、
こちらは中央政府というものがない。
電話会社も、テレビ局も、航空会社もなんでもある。
ないのは政府だけで、そして誰も困ってないみたい。

ついでに憲法というもんもない。
(娘がこないだいったネパールも憲法ないってさ)

押し付けられたもんだからと、
憲法を変えたがっている人がいるが、
よくそんな理由に騙される人がいるなぁと不思議になる。
おしつけられたもんは他にもいっぱいあるし。
財閥解体とかは、よかったの?ということにもなる。

第一、選挙についても、裁判所は違憲だといい、
だけど、このままでいいという事になってる。
守らなくても構わない憲法なら、意味ないじゃん!
いらないんじゃないか?

ついでに、今の政府、
ない方が私たち幸せになれるかも。

本日はアナーキストな私。
2013年05月08日 | Comments(2) | ソマリランド

ソマリランド2

私は時々、世の中の人がみんな、
勤勉で、前向きで、賢明で、働き者なのをみて、
もうだめだ、勝手にやってくれ、私はついていけない…
と思って落ち込む。

最近、そんな私をなぐさめてくれるのは、
何を隠そうソマリ人である。
著者も書いているが、ソマリ人というのは、
何から何まで日本人の正反対を行く人たちです。

性格は荒っぽく、短気で乱暴。
せっかちで落ち着きがなく、全然勤勉でない。
人のことにあまり興味を持たない。
そして、お金にうるさく、欲張りでもある。

もしこんな人がいたら普通の日本人は、
ダメな人の烙印をペタリと押すでしょう。
ソマリランドにはこういう人がわんさかいる。
そんなだから評判が悪く人気が無く、ソマリランドのことを、
研究しようという人も尻込みしてしまうという。
(著者はどうも大好きみたいだけど)

とにかくこれらの性格が遊牧民のセンスなのか、
砂漠の民のメンタリティーなのかは、
今んとこ私にはわからないが。
とにかくこの荒々しさが災いして、
血で血を洗う氏族同士の争いが続き、南部ソマリアは、
今も、氏族争いにアラブ人が加わった内戦状態である。

2013年05月07日 | Comments(0) | ソマリランド

「謎の独立国家ソマリランド」1

ソマリランドの本は衝撃的に面白い。

まず驚くのは、私が余りにもアフリカについて知らないこと。
他の場所は知ってるかといえば、ま、よくも知らないんだが、
アフリカの知らなさは、もうダントツだと解った。

それから差別について考えていて、以前から
放浪者についてもっと知りたいと思っていた。
そんで、ちょうどいいことに、
このソマリ人というのが、全員、砂漠を移動する遊牧民なんです。

この放浪者たちは、有史以来国というものを持たなかったのです。
ソマリ人が国家というものに遭遇するのは、19世紀!
イギリスが東北部をとってソマリランドと勝手に名付け、
イタリアが南部にやってきて、ソマリアと名付けた。

ま、この植民地というのはメチャクチャな勝手な話。
あきれるね。
2013年04月28日 | Comments(0) | ソマリランド

ソマリランドという国

今「謎の独立国家ソマリランド」という本を読んでおる。
新聞の書評を読んで、完全に気に入って、
近所の秀文堂に注文した。
本が入りましたよという本屋からの電話をとったのは、
たまたま息子だった。
「お母さんまた怪しい本を買ったね」と言われたよ。
タイトルがね…
でも、まだちょっとしか読んでないが、
大傑作間違いなし!

アフリカの話である。
ソマリアといえば、日本では海賊の国というイメージか。
政情不安定のソマリアの中にあって、独立国として
平和を維持している自称〈国〉である。
ちゃんと独自の通貨も持っている。
お金がなくて自国では作れないので、
イギリスで印刷して空輸しておるそうだ。

アフリカは厳しい状況の国が多く、
今月のデイズジャパンの写真を見ても、
ぐっと息が詰まるような悲惨がある。
しかし、この本の中の写真に出てくる人たちは、
実に良い笑顔を見せている。
平和は顔にでるなぁ。

実に面白いが、私は、姉がプッシュするジャコメッティも、
読まねばならんので、ま、おいおい読み進めるわな。
けっこう長いので、楽しめる。
2013年04月21日 | Comments(2) | ソマリランド
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