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新・忘れられた日本人 6

とよさんは昭和22年に14歳年上のいとこと結婚する。
縁組みは厳しい差別の中で、親族、縁者、同業者に
ほぼかぎられていた。

夫となる勝次は子どもの頃、鬼怒川沿いの洞窟にすんでいたという。
当時入れ替わり立ち替わり、20人から40人のひとたちが
この洞窟に住まっていたという。

勝次は健脚の仲間うちでも、飛び抜けて足が速く、
背中いっぱい箕の材料を背負って自転車を追い抜いたという!
「飛行機かっちゃん」とよばれ有名だった。

勝次は92の年まで山に入り材料を集めて箕を作っていた。
平成20年、98歳で死んだ。
二日前まで元気だったが、体調を崩し、近くの医師にきてもらう。
肺に血が溜まっているというので
鼻にくだをいれられ、点滴をうけることになった。
ところが昼ごろ、それらの装置をしゃにむに外してしまう。
よる9時ぼろ「死んじまう、死んじまう」とうめいていた。
とよは隣室で聞いていた。
やがて静かになったので、そのまま眠ってしまった。

これでいいよと思う。
私もこんなふうに母の死を見ていたのである。
誇り高く、強い人たちである。

河出書房新社

ついでながら、
この本は珍しいほどやるきのない装丁である。
中に出てくる島の写真が引き延ばされカラーで使われているが
まったく意味がわからない。
もう少しなんとかならないものか。
良い本であるだけに、残念である。
2012年02月28日 | Comments(0) |
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