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苦海浄土7

石牟礼さんは詩人でもあるので、
その文章にリズム感があります。
〈、〉の使い方なども上手で、なめらかな読み心地です。
また語りの部分は、その内容のシビアさとはうらはらに、
昔話を聞いているような、気持ちよさがあります。

そんな中に挿入されるのが、引き写しの文章です。
病気の症状をたんたんと表現したものや、
無味乾燥なお役所言葉のようなものが入ることは、
読者に強い違和感を感じさせます。
しかし、そのことで、我に返るというか、
これがまぎれもない事実だということを実感させます。

水俣病闘争の全体像を構造的に把握させるという意味でも、
重要な役目をはたしていると思います。


病例  山中、二十八歳女、職業漁業
発病  昭和三十一年七月十三日
既往歴 生来頑健にして著患をしらない。
現病歴 三十一年七月十三日、両側の第二、第三、四指にしびれ感
    を自覚し、十五日には口唇がしびれ耳が遠くなった。
    十八日には草履がうまくはけず歩行は失調性となった。ま
    たその頃から言語障害が現れ手指震えを見、時にChorea様
    の不随意運動が認められた。八月に入ると歩行困難が起こり
    七日水俣市白浜病院(伝染病院)に入院したが、入院翌日よ
    りChorea様運動が激しくさらにBallismus様運動が加わり時
    に犬吠様の叫声を発し全くの狂躁状態となった。睡眠薬を投
    与すると就眠する様であるが、四肢の不随意運動は停止しな
    い。 
    
    所見は続くが以下略

この患者は九月三日に死亡した。
2012年07月28日 | Comments(0) | 苦海浄土
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