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苦海浄土8

この本を読み始めるとすぐ、これは網野さんのいう、
〈海民〉の物語だなと思った。

読み進むにつれ、海民のなかの海民ともいうべき
家船(えぶね)で暮らす人まででてくる。
このあたりの呼び名で〈船人(ふなと)の衆〉と呼ばれる人々です。
陸に家も畑も持たず、一年を通して、家族全員が、
海の上で暮らす人たちです。

非常に古い海民の暮らしの形です。
不知火の海は外海との間に小さな島々があり、
よほどの台風でもなければ荒波がたつこともない。
海の幸も豊富で、寒さは冬の一時と、条件がそろっていたのでしょう。
昭和の初期まで、この古代的な暮らし方が残っていたのです。

現在は陸暮らしだが、ほんのこの間まで海上生活者であった
おばさんの語り

 学校なんのには、一、二年、真似ばっかり行きました。
  字の要る娑婆にはご縁のありません。空一生(から
 いっしょう)、夢んごたるふうでございますけん。
  夕めし済ませて、子どもに小便どもさせながら眺めて
 おりますと、波の先に、お月さんのゆらゆら揺れておい
 でなはります。
 「あら、今夜はもう、十三夜さんばい。今度の闇夜まで
 には、肥後まで渡って来んばならんなあ、父ちゃん」
 というふうでございます。
 「昨日は、北の風の吹いとったなぁ。宗太郎丸は、三角
 の沖まで、行き着いたかしらん」
  隣におった舟の噂ども心配して赤子をあやしましたり、
 あんまり背中のが泣きますときには、舟板を足でゆすっ
 て櫓を漕ぎながら、口からでまかせをば歌にしますとで
 ございます。
2012年07月30日 | Comments(0) | 苦海浄土
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