「私の原爆症」という文章がある。
少し引用する。
あえて誤解を恐れず告白するが、この二十三年間、私はアメリカ人を
ひとり残らず殺してしまいたい、という暗い情念にとらわれつづけてきた。
中略
なにしろこんな病的な状態だから、もとより私には平和について語る
資格などあるはずがない。
私は多くの言葉を、読んだわけではないが、
これほど正直に原爆を落とした国にたいする怒りと憎しみを書いた
文章にであったのは初めてのような気がする。
いままで読んだものの多くは、原爆そのものに対する怒りであった。
じつは、その事に違和感を感じ続けていた。
以前原爆と原発について書こうとして、尻切れとんぼになっているが、
その時読んだ被爆者の言葉もそうだった。
今私には荷が重くてこれ以上書けない。
ただ、この文章のあとに
「許すまじ原爆を、三たび許すまじ原爆を…」
という歌が出てくる。
私も子供の頃から度々耳にし、諳んじている歌である。
あれを、もう長く聞いてないような気がする。
今も歌われているのだろうか?
あの歌を忘れてはいけないような気がするのだが。
上野英信の本2
2012年10月19日
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