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宮澤賢治イーハトヴ学事典7

こらむ10

私はお話を聞くのは好きでしたが
自分で語ろうとは思いませんでした。
自分に記憶力がないのはわかっていましたので
憶えられるとは思えませんでしたから。

ところがたった一度、あやまちを犯しました。

徳永さんが遠くへ引っ越されることになり
送別のお話会が開かれる事になりました。
私はどうしても、はなむけのお話がしたくなってしまったのです。
そして、それは、賢治だろうと。
わたしは自分が大好きでかつ最も短いものという観点から
「注文の多い料理店」の「序文」を選びました。

これはお話ではないのですが
賢治の創作の根っこのところがすっかり書かれたもので
その文章は詩のようにシンプルで緊張感があります。
たいへん短いので一部を引くのはむずかしいのですが
  
  これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
 虹や月あかりからもらってきたのです。
  ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかったり、
 十一月の山の風のなかに、ふるえながら立ったりしますと、
 もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。

私は台所に立ちながら、もにょもにょと練習しました。
私にとっては、やはりむずかしいことだというのが解りました。
当日は、文庫活動や、小学校などでの出張お話会に
長く関わってこられた徳永さんを送るため
たくさんの語り手のかたたちがみえました。

あーあ、恥ずかしかった!です。

おしまいに、この文章の有名な最後のところを。

  けれども、わたくしは、これらのちひさなものがたりの幾きれかが、
 おしまひ、あなたのすきとほったほんたうの
 たべものになることを、どんなにねがふかわかりません。
   
  大正十二年十二月二十日        宮澤賢治
2010年11月25日 | Comments(0) | 宮澤賢治
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