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宮澤賢治イーハトヴ学事典8

コラム8

時は流れて、(いまから10年とちょっとくらい前になるか…)
私は単身、東北の旅に出る。
当時大きな犬2匹と小さな子ども2匹がいて
気楽に旅行のできる身分ではなかったはずで、
なぜこのタイミングだったのかは不明である。

各方面に無理を言って、岩手へと旅立ったのである。

賢治ゆかりの場所はだいたい行ったが、
最も印象にのこっているのは、花巻で泊まった鉛温泉である。
ここは温泉の雑誌か何かで見て決めた場所で
行くまでは知らなかったのだが、賢治もたびたび訪れた所で
「なめとこ山の熊」のなかに出てくる。

 腹の痛いのにもきけば傷もなおる。
 鉛の湯の入り口になめとこ山の熊の胆ありという
 昔からの看板もかかっている。だからもう熊はなめとこ山で
 紅い舌をべろべろ吐いてたにをわたったり熊の子どもらが
 すもうをとっておしまひぽかぽか撲りあったりしていることはたしかだ。

東京は春だったが、鉛の湯の前でバスを降りると雪があった。
建物はばかに大きく、湯治客のための自炊棟があって
白菜からくつしたまで揃ったコンビニエンスな売店があった。
どこにも人影はなく、まさにつげ義春の世界だった。

お目当ての白猿の湯が混浴と知って、私はだいぶびびった。
まったく問題意識のない番頭さんを相手に根掘り葉掘り聞いて
他のお客が夕食をたべてる時間帯に突撃する事に決める。

三階ぶんが吹き抜けのだだっぴろいおふろの真ん中に
小判形の1メートルいじょうの深さがある湯船がある。
私など立ってちょうど頭だけ出るかっこうである。
そして足下からお湯がわき出しているのだ。

私は、みごとにだれにも会わずこのお湯を満喫したのであった。

このあと私は遠野へいくのである。
2010年11月26日 | Comments(0) | 宮澤賢治
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